スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

主従生徒会 1話

僕は目の前のこの建物にぽかりと口を開けていた。
あまりのでかさと言うのか、全てに圧倒された。
僕が今日から通うのはここ、青春学園。
何か突っ込んだら負けな気がする、青春学園――
「すご・・・これ絶対金かけすぎ・・・・・」
噂には聞いていたけどまさかこれほどとは。
止まるのは全て高級車ばかり、
ところどころに見かける秘書らしき人。
さすが金持ち学園と言ったところか。
実はこの青春学園、全寮制の男子校である。
男子だけで何を青春しろっていうんだろう
3日前に家のポストに入っていた封筒には
『青春学園に通いませんか』と書かれた紙が入っていて、

ほうっていたら、母が勝手に申請を出していた。
あぁ・・・あの時捨てておけば良かった・・・・
ちなみに学費は会長払いらしく、それに母さんが食いついた訳だ。
でも、過ぎたことを悔いても仕方ない、今日から僕もこの青春学園の生徒なのだから。

           ――――――――多分この頃から会長の罠にハマっていたのだろう。

「はぁい。みんな、今日からこのクラスのお友達となる神代くんです!仲良くしてあげてね」
先生が僕の名前を黒板に書き出す。
うぅ・・・緊張するなぁ。
こんな思いは小学生のお芝居以来だ。
「神代裕です、よろしくお願いします」
「ええと、神代くんの席はその列の一番後ろ――高坂くんの隣ね」
高坂くんとは、一番左の列に座っている男の子の事だろう
僕は席につく。
「高坂くん、よろしく」
「どうも」
高坂くんはそう言っただけで目も合わせてはくれない。
そしてプイっと窓の外を向いてしまうのだった。
――いつもこんな感じ・・・なんだろうか。
ざわついてる教室を先生が割ってはいる。
「みんなっ、いくら神代くんが女の子みたいに可愛いからって襲っちゃ駄目なんだからね!
みんなには、先生がいるでしょ」
・・・・可愛いとか襲うとか、僕は男なんだけど。
前の学校でクラスの女子に「かわいい」って言われてたけどさ。
いくら何でも男から――なんて
「さぁっ、神代くんばかり見てないで授業始めるわよ」
こうして1時間目が始まったのだ。

さすがお金持ち学校、レベルが高すぎる。
僕が分かるレベルじゃない。
あきらかに上だろう。
前の学校じゃ3年生がやっていたところを1年生でやっているものだ。
成績は別に悪くなかったのだけれどいい方でもなかった。
ゆとり教育のばかやろう。
「えーとじゃあこの問題を――」
目を合わせると当てられそうだったので目先を逸らそうとした、のに
「神代くん、お願いね」
なんと、当てられてしまったのだ。
なんか、ニコニコしてるし
普通初日に当てるだろうか。
「あ、えと・・・」
どうしよう・・・全く分からないのだが・・・
男は勘だと思い、何か言おうとしたのに何も言葉が出てこず、かなりピンチだ。
「先生、その問題」
高坂くんだった。
「勧誘なんかで入ってきた馬鹿なんかに当てても答えなんか出ませんよ」
馬鹿って・・・高坂くんから見たら馬鹿でアホかもかもしれないけどさ!
さすがの僕でもこれにはムカついた。
「じゃあ、高坂君。そこまで言いたいのなら、どうぞ」
「・・・・はい」
高坂くんは立ち上がり、むずかしい事をぺらぺらと言う。
本当に合ってるのかなぁ。
あぁ、でも本当すごいなぁ高坂くん。
僕ももっと勉強しとけば良かったなぁ。
「別に。この馬鹿のせいで授業が進まなかったら嫌なんで。
あ、それと先生、俺別に言いたかった訳じゃないんで。俺は―――」
ん、どうしたんだろう。顔が赤いような・・・気のせいだよね。
高坂くんが座ったので僕も座ることにした。
僕が黙ったままだったから、代わりに言ってくれたんだよね・・・・?
それとも授業のため?
実は高坂くんてものすごーくいい人なのかもしれない。

昼休み。
何処の学校にもあるお昼の時間だ。
「待っていても始まらない」そう誰かが言っていた気がする
ので。
「あれ、高坂くん1人なの?もし良かったら僕と食べ――」
「いやだ」
え、まだ全部言ってないのにハッキリと断られた!?
「え、何で何で!高坂くん本当は優しいのに!」
「優しくない。うざい。食べられない」
「嘘だ!」
「うそじゃない」
「でも僕は―――」
『ピンポンパンポーン』
途端、頭上から気だるそうな声。
どうやら校内放送のようだった。
ベルの事はあえて無視だ。
『あー、何湊ぉ、これ読めばいい訳?』
『うん、そうじゃない?いいから早く読まないと会長怒っちゃうよ!』
一瞬、会長という言葉にドキッとした。
僕をこの通わせてくれた人だ、きっと心のどこかで気にしているのだろう。
にしても・・・怒るってどんな会長だろう?
それはちょっと見てみたいかもしれない。
『ああ!もうめんどくせ!
1のB神代裕とやら、5分以内に生徒会室に来いだとよ!
会長の命令、以上!』
と、それだけ言い放ち、めちゃくちゃな校内放送は切れてしまう。
声の主は神代裕とそう呼んだ。
なので呼ばれたのは自分なんだろう。
「おい」
と高坂くん。
「早く行かないと本気でキレるぞ会長」
「キレるのか会長」と思いつつ僕は高坂くんに言った。
「じゃあ、行ってくるね」
「次、遅れんなよ」

生徒会室の10m先から敷かれていたレットカーペットを抜け、
辿り着いた先が生徒会室。
「遅れんなよ」そう言われてたのに、あと少しで5時間目が始まろうとしていた。
改めてこの学園の広さが分かったような気がする。
キィ―――と錆びた音を立てながらも、扉は簡単に開いた。
「失礼します・・・・」
「―――遅い!」
開くとなにやら会長らしき人物が足を組み、こちらを見ていた。
「あ、すみません」
反射的に謝ってしまうのだった。
会長はまじまじとこちらを見つめ、ふむ。と深く納得したように頷いた。
「まぁいい、座れ。おい、湊、茶を出してやれ」
すると湊と呼ばれた女の子(?)はティーカップを持ってくる。
え、と。一応適確に説明しておくと、ロングヘアでツインテール、スカートと言った
至って普通の格好をした女の子が居た。
・・・・まぁそれはいい。問題はそこではなく、ここが男子校だということ。
うーんまぁいいか。
何たって可愛いし、性別なんて細かいこと気にしてられないし。
「会計の更科湊です、よろしくね」
更科さんはにこっりと太陽のようなスマイル。
「こちらこそよろしくお願いします」
「やだー、敬語じゃなくてもいいよ、だって君もこの生徒会の仲間なんだもん」
・・・・ん?
何か今とても大切な事を言っていたような気がする。
幻聴かな?もしもそうならそうであって欲しい。
「――今日はダージリンとマカロンか。悪くはないな」
会長がティーカップに口を付ける。
静まっている生徒会室にゴクリという音が響く。
ダージリンとかマカロンって・・・紅茶は紅茶じゃないんだろうか。
「ん、どうした、早く飲め」
「あ、はい。頂きます・・・・」
獄もゴクリと一口。
・・・紅茶なんだけど何というか妙な安心感があった。
さすがは高級、淹れてくれた人の腕がいいのかもしれない。
ズズと二口目。
そこではた。と僕は我に返った。
・・・・何で僕は一息ついているんだろうか。
もう授業が始まっているというのに。
――――その時、バンと乱暴に扉が開いた。
「わりぃ遅れた!」
「遅いぞー和希ぃー」
現れたのはいかにも上級生らしい長身の体、着崩した制服から見える胸板がワイルドにきまっている
男の僕でも見とれるくらい格好いい人だった。
振り返り、僕をじっと見ている。
「ふぅん、アンタが神代裕ね」
「あの・・・・何か」
「いや、特に何もねぇや。あ、俺城島和希、よろしく」
和希さんはニカッと笑ってみせた。
やっぱり格好いい、と再度僕は改めて思う。

「さて、今日お前達に集まって貰ったのは他でもない、この生徒会の事だ」
僕も含め、全員が息を呑んだ。
会長は続ける。
「お前達も知っている事だろうが、今年の生徒会メンバーはこのメンバーだ」
いやいや、僕は何も聞いてないんだけどなぁ。
でも――このメンバーって事は僕も入ってたりするのかな。
それならさっき更科さんが言っていたことともつじつまが合う。
けれど、そんな事はまずない。
この学園は一応お金持ちしか通えないし、
それに、高坂くんに馬鹿って言われたし―――それに・・・
とにかく、僕が生徒会に入るという確率は5%にも満たないくらいだ。
頭がハテナになっている僕に会長が告げる。
「会長はこの俺、鳴海隼人、副会長城島和希、会計更科湊。
書記の羽鳥が転校した為に書記は現在交渉中」
ほっと胸をなで下ろす。
名前呼ばれなくて安心したからだ。
でも、それなら何故呼ばれたのだろうか。Why?
「あれー会長、湊は裕くんが新しい書記だと思ったんだけどなぁ」
「あ、それ俺も思った!」
「――いや、役ならちゃんとあるぞ」
途端、会長がそんな事を言った。

「雑用係」

その言葉はますます僕をハテナにさせた。
というか、思考が一瞬止まったくらいだ。
「あの・・・・会長、雑用係って何ですか」
念のための確認だ。
勿論僕にはこの人がそんな冗談を言うような人には見えない。
「そう、雑用」
と、会長は見下すように(実際見下していたんだけど)言った。
雑用って何。

「神代裕、お前は今日から俺達生徒会の犬となるんだ」
「い、犬?」
「そうだ。この生徒会の命令には絶対服従。
お前は犬となって生徒会の為に身を削り、心を無にして俺達の為に働くんだ。」
なんと、この会長はとんでもないことを言い出した。
そう、僕からしてみればとんでもない事、会長からしてみればとんでもなくないことなのだ。
多分、この人は自分以外の人間は動物くらいにしか思ってないのだろう。
もはや苦笑気味の僕に会長が更なる追い打ちをかける。
「何なら、猫でもいいぞ、猫の方が可愛いし」
「い、いえ、結構です」
そうだ、思いだした。
校長に「会長に気をつけて下さい」って言われてたんだっけ。
「今年の雑用係は裕くんなんだねー、湊納得!」
「せいぜい頑張れよー雑用係!」
「ちょっとそこの2人!何勝手に納得してんですか!」
「えーだって仕方ないじゃん。会長が決めたんだから。」
どうやら会長の命令には逆らえないようだ。
運がない、自分でもそう思う。
今思えば無料でこの学園に通えるって事がものすごい。
それがこういう意味だったなんて。
改めてその自体が理解出来るようになり、冷静を取り戻した僕は会長に解いた。
「何で僕なんですか、1年なら他にも居ると思いますが」
「かわいいから」
か、かわいいって・・・その言葉に思わずドキッとしてしまう。
何か、この人凄く不思議な人だ。
「じゃ」と会長が仕切る。
「そういう訳で今日は解散」

どうやら僕はとんでもない人達に巻き込まれてしまったらしい。
誰も居なくなった生徒会室には僕1人が残された。
雑用という役職を押しつけられた春だった。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。